大阪市廃止の住民投票は中止し、コロナ対策こそ最優先に!
コロナ感染を考慮し11月29日の大阪マラソンの中止が発表されましたが、大阪市の松井市長は、大阪市廃止の「都構想」の住民投票を11月1日に実施する考えを表明しています。コロナ対策のために、大阪市がもつ大きな財源と政令指定都市としての権限を大いに活用すべき時に、大阪市を廃止する住民投票に突き進むようなことはやめるべきだと思います。
■ 市民を真っ二つに分断する住民投票を中止し、市民が協力し合ってコロナ対策を
住民投票を行うためには、「都構想」の案を市民に十分説明し、市民の間でしっかり議論し、その内容を市民が十分理解するということが必要です。11月1日までにそんなことができるでしょうか。この間は、コロナの第2波・第3波への備え、秋・冬への備えが強く求められています。コロナ対策に集中的に取り組み、市民みんなが協力し合うことが求められる時期でもあります。十分な説明・議論・理解もないまま、市民を真っ二つに分断する大阪市廃止の住民投票はきっぱり中止し、コロナ対策にもっと力を注ぐべきではないでしょうか。
■ コロナで今後の見通しは激変――コロナ前の「都構想」案のままでの住民投票は無謀
松井市長らが住民投票にはかると言っている大阪市廃止の「都構想」の案は、コロナ問題が起きる前に作られたものです。新型コロナウィルス感染拡大によって、大阪市の経済の見通しも財政の見通しも大きく変わっています。
「維新」は「大阪の成長を止めるな」と叫び、「成長」の最大のエンジンとして大量の外国人観光客の来阪をあげていました。そして、その「成長」のさらなる発展のエンジンとして「IR・カジノ構想」をあげていました。しかし、コロナ感染拡大によって外国人観光客は激減し、いつになれば元に戻るのかの見通しもたっていません。世界のカジノ業者は経営に大打撃を受けて、大阪での「IR・カジノ構想」も破綻しつつあります。大阪市域での税収が今後どうなるのかもまったく不透明です。
コロナ前に作った大阪市廃止の「都構想」の案のままで、なんの見直しもせずに11月に住民投票をやるというのは、無謀であるとともに市民をごまかすやり方と言わざるを得ません。(北山良三 元大阪市会議員)